Jリーグから聞こえてこないストーリー
ペレ、マラドーナ、クライフ、ベッケンバウアー
誰もが知っている、フットボール界のレジェンドである。
彼らがレジェンドがレジェンドたる所以とは何だろう。
サッカーが上手なのは当たり前として、
クラブチームや自国代表チームで中心的プレーヤーとして活躍し、
優勝またはそれに準ずる成績をもたらしたとか、
常識はずれなプレーをしたり、
戦術のトレンドを転換させるようなチームのキープレーヤーとして、
新しいプレーを見せてくれたり、考え出すときりがない。
サッカーのプレーに関してはもちろん疑問の余地が無いレジェンド並の彼らであるが、
どうしてこれほど有無を言わさないほどのレジェンドになれたのか、
それは人を惹き付ける「ストーリー」にあるのだ、と僕は思う。
「ストーリー」とは、彼らに起きた事件や逸話がサッカーのプレーと一体となって、
世間の話題として回っていく間に、彼らに別な価値を付加していくものだ。
ペレは、17才でブラジル代表に選ばれ、1958年W杯スウェーデン大会で大活躍し、
ブラジルの初優勝に貢献。
このとき、偶然チーム内の抽選の結果付けていた背番号10が
サッカーでのエースナンバーとされるようになる。「王様」と呼ばれる。
現役引退してからマラドーナを始め、いろんな選手と比較されるが、自分が一番だとする「王様」発言を続けている。
マラドーナ、あまり説明は要らないかもしれないが、アルゼンチンの生ける伝説。
「神の子」と呼ばれるほどボールの扱いがうまい。基本左足だけでプレー。
1986年W杯メキシコ大会では、母国の優勝にエースとして貢献。
そのメキシコ大会準々決勝イングランド戦では、「5人抜きゴール」「神の手ゴール」と
スーパープレーと疑惑のプレー両方を披露した。
私生活では、薬物使用やチーム・協会・監督・選手との確執など
トラブルだらけであるが、わが道を行っているようである。
クライフ、「フライング・ダッチマン(空飛ぶオランダ人)」と呼ばれ
オランダ代表ミケルス監督が推進した革新的サッカー戦術である「トータルフットボール」のキープレーヤー。1974年W杯西ドイツ大会では「トータルフットボール」で大会を席巻。
決勝戦で地元の西ドイツに敗れるが、当時のオランダ代表が見せた新しいサッカーは
世界に轟いた。軸足の後ろにボールを通してターンする「クライフターン」を考案。
ベッケンバウアーは、「皇帝」と呼ばれ、「リベロ・システム」の先駆者。
守備の時は、最後列でスイーバーとして守り、攻撃になると中盤に上がってはパスを捌き、
機会をみては前線まで顔を出しシュートまでしてしまう、まさに「リベロ(自由)」な選手だった。1970年W杯メキシコ大会での準決勝イタリア戦、試合途中で右肩を脱臼してしまうが、交代枠が残っておらずテーピングで右肩から右腕を固定して最後まで出場。延長戦まで進んだ試合は惜しくも敗れるが、「世紀の一戦」としてファンの記憶に刻まれる。
と、簡単にまとめてみたが、まだまだプレー以外のエピソードには事欠かない。
人物をみても、一癖も二癖もあり(ベッケンバウアーは礼儀正しく欠点が少ないところで評価が高い)とても魅力的なのだ。そして、ニュースに載りやすい発言や行動が多い。
プレー以外にそういったプラスアルファを持っていることで彼らはまさしく人を惹き付け「伝説」となり得たのだろう。
「伝説」となれとまでは言わないが、現在Jリーグの選手の中に、ニュースを騒がすくらい人の関心を惹き付けている選手がいるのだろうか。(カズ選手くらいでしょうかね)
魅力的な試合、世界基準のプレーを目指すと言ってはいるが、
Jリーグとして、そんな選手が出てくるような「ストーリー」が感じられる演出がなされているのだろうか。サポーターやサポーター・ファン予備軍達をエンターテインする努力はされているのだろうか。
別に「犬より速かった」とか「リフティングはヘタクソだけどなぜか点は取る」でも、くだらないことでもいい、良いプレーや良い試合にちょっとした「ストーリー」をプラスアルファして世間の話題にのぼることで、もっと魅力が伝わり、Jリーグを観るきっかけを増やせると思う。それはそんなに難しいことではないのではないか。
↓ ハマった人目線で勉強勉強。第二回サッカー本大賞を受賞!おめでとうございます。
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